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有料の習い事が認可保育所でも可能に!

執筆者の写真: 吉田正幸吉田正幸
 

体操や音楽、英語など園児獲得の道具に使われる懸念は?


 こども家庭庁のこども家庭審議会に置かれた子ども・子育て支援等分科会が先ごろ開かれ、その中で規制改革に関係する保育政策として、「認可保育所における付加的サービスの円滑化」について改めて説明が行われました。

 これは、政府の規制改革推進会議の中間答申(2024年12月に決定)に盛り込まれたもので、体操やダンス、音楽、絵画、英語などの習い事を付加的保育として認め、その費用を上乗せ徴収できるよう求めたものです。

その際、一定の条件(保護者に対する説明や同意を得ること、料金設定について保護者の経済的負担に配慮すること、付加的サービスに参加する児童と参加しない児童それぞれに適切に対応することなど)を課すこととされています。

 その上で、中間答申は、市町村に対して、①実施される付加的サービスの内容、②保育の指導計画への位置付け、③実施時間(コアタイム内・外)、④料金設定(保護者の経済的負担への配慮を含む)、⑤保護者への説明及び同意取得、⑥付加的サービスに参加しない児童への対応などを調査し、その結果を市町村や保育事業者に対して周知するよう求めています。

 また、中間答申は、こども家庭庁に対して、付加的サービスの実態調査結果も踏まえながら「付加的サービスの実施の要件等の整理・明確化」について、さらに検討した上で、「所要の措置を講ずる」よう要請しています。これらの措置は、令和7年度中に実施される見通しです。

 認可保育所における付加的サービスに関しては、ポピンズや学研ココファン・ナーサリーなど大手の保育サービス企業6社で構成する「保育の未来を創る会」が、規制改革推進会議に対して 「保護者の選択による付加的な保育」の推進が図られるよう求めていました。

 体操や音楽、英語などの付加的サービスが一概に悪いわけではありませんが、費用徴収を前提に保護者の選択に委ねた場合、付加的サービスを受ける園児と受けない園児が出てくる可能性もあります。さらに、もし通常の保育時間の中で付加的サービスを行うことが可能になれば、全ての園児に公平な保育の提供を担保できるのかどうか、難しい問題が生じます。

 それ以上に、定員割れ見舞われる保育施設が増えると予想される中で、付加的サービスが園児獲得の道具に使われる心配がないとは言えません。特に、大手のチェーン系保育サービス事業者が、こぞって付加的サービスを強化するようなことになれば、その影響は小さくないだけに、「こどもまんなか」の公的な保育とは何なのか、ということが問われそうです。

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