人材確保の最大のボトルネックになる可能性も
保育士や幼稚園教諭を養成する短期大学が、相次いで学生募集停止や閉鎖に追い込まれています。その背景には、少子化の進行に伴う18歳人口の減少や四年制大学志向の高まり、さらには処遇や職場環境等の保育者に対するマイナスイメージがあると考えられています。
募集停止や閉鎖まで至らなくても、定員充足率が低下している短大も相当数に上るとみられており、保育人材の有力な供給源である短大等の養成校がこのまま地盤沈下していけば、やがて人材確保の大きなボトルネックになりかねません。それだけに、処遇や職員配置の改善、職場環境の見直しだけでなく、養成校の在り方にも人材確保対策の目を向ける必要がありそうです。
短大全体の95%を占める私立短大は、1997年度の504校をピークに減少に転じ、2024年度は282校まで減っています。入学者数をみても、ピークであった平成5年度の23万9752人から令和7年度の7万3374人へと激減しています。その中でも近年は、保育者養成を担う学科のある短大が厳しい状況に置かれているように思われます。
ただ、短大や四年制大学、専門学校を含む保育者養成校に関しては、募集停止や閉鎖、入閣志願者数や定員充足率の推移など詳細な調査が行われておらず、実態が明らかではないのが現状です。
数少ない情報としては、子ども家庭庁(以前は厚生労働省)が公表している指定保育士養成施設一覧です。それによると、令和6年4月1日現在で募集停止となっている養成校は30校となっていますが、今後さらに増えると考えられます。
例えば、神戸市の神戸女子短期大学は、幼児教育学科を含む3学科全てで2026年度以降の学生募集を停止、同じく神戸市で頌栄保姆伝習所として開学した頌栄短期大学も2026年度で募集を停止する予定です。
幼児保育学科2年間と専攻科1年間の教育体制を取る星美学園短期大学(東京都北区)は、2025年度以降の学生募集を停止。こども学科を持つ栃木県の足利短期大学も、2025年度から募集を停止します。
*短大養成校の募集停止などに関しては、近日中に会員ページの「オリジナルコラム」欄で取り上げる予定です。