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執筆者の写真吉田正幸

来年度の試行的事業も月10時間が利用上限に

 

人員配置や実施方法、設備基準など一時預かりとほぼ同等


 こども家庭庁の「こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会」が10月30日に開かれ、同庁から示された資料を元に、来年度以降の制度の在り方について3回目の検討を行いました。

 この中で、同庁の資料では、令和7年度の試行的事業における利用可能時間について、「引き続き、『月10時間』を補助基準上の上限としてはどうか」との方向性が示されました。利用上限時間をもっと増やすよう求める声も多かったのですが、保育所等の定員充足率がそれほど下がっていないことや、利用を希望する未就園児をできるだけ多く受け入れる必要があるとの考えから、上限時間の引き上げを図ることを諦めたものと言えそうです。

 一方で、1時間当たり850円の補助単価では、受け入れ施設側の運営が難しいとの声に配慮して、来年度の試行的事業に向けて「必要な保育人材を確保し、しっかりと運営できるものとなるよう設定する方向で検討する」との考えが示されました。その際、「こどもの年齢ごとに関わり方に特徴や留意点があることを踏まえ、利用するこどもの年齢に応じた1時間当たりの補助単価を設定すること」についても検討することになりました。具体的な補助単価については、「予算編成過程で検討し、年末にお示しする」としています。

 また、事業の実施主体(対象施設)や認可基準・手続き、実施方法、設備等の基準などについては、おおむね次のような方向性が示されました。これらの多くは一時預かり等に準じたものとなっており、給付制度として本格実施する事業としてはかなり簡素化、弾力化されることになりそうです。

○多様な主体の参画を認める観点から対象施設は限定をせず、適切に事業を実施できる施設であれば認めることとしてはどうか。

(現在の試行的事業では、保育所、認定こども園、小規模保育事業所、家庭的保育事業所、幼稚園、地域子育て支援拠点、企業主導型保育事業所、認可外保育施設、児童発達支援センター等としており、対象施設を限定してはいない)

○その上で、こどもにとって安全・安心な制度となるよう、認可基準については適切に設定し、当該基準を満たしているものに限り実施を可能としてはどうか。

○市町村における施設の認可手続については、家庭的保育事業等における認可手続と同様に、設備運営基準への適合状況等に照らし、実施可能かどうか丁寧に確認の上、認可を行うこととしてはどうか。

○その上で、市町村の事務負担を鑑み、法令に反しない範囲で手続を簡素化できる方策として市町村において参考としていただける内容を事務連絡においてお示ししてはどうか。

○実施方法として一般型、余裕活用型を法令上位置づけてはどうか。

○試行的事業の実施状況も踏まえ、一時預かり事業と同様の人員配置基準としてはどうか。

 

*今回の検討内容については、近日中に会員ページの「ニュース解説」で詳しく取り上る予定です。

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