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執筆者の写真吉田正幸

幼稚園教育要領の改訂を見据え文科省が検討に着手


 
保育指針や教育・保育要領も含めた実態・実情の把握も

 文部科学省は1月25日、「今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会」の初会合を開きました。次期の幼稚園教育要領改訂に向けて、今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方などの検討に乗り出したものです。今夏までには検討内容の取りまとめを行い、その後の教育要領改訂の具体的な審議につなげていくものとみられます。

 併せて、同検討会では、保育所保育指針や幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の実態や、幼児の学びの状況など、教育活動の実施状況を把握し、3要領・指針の今後の在り方も視野に入れながら検討を進めていく予定です。

 検討の趣旨については、「家庭や地域の状況にかかわらず全ての子供が格差なく質の高い学びへと接続できるよう、幼児期及び幼保小接続期の教育の質を保障する施策を一層推進していくことが求められる」との考えを示しています。

 「こども大綱」や「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」が昨年12月に閣議決定されたことを踏まえ、教育要領だけでなく保育指針や教育・保育要領の3要領・指針を最初から視野に入れて、今後の幼児期の教育の在り方について検討が行われる点が、これまでの教育要領改訂の検討とは異なります。

 一方、保育指針や教育・保育要領の改定(改訂)については今後、こども家庭庁の下で行われることから、文科省とこども家庭庁の相互協議や連携がどう図られるかも大きな課題になりそうです。

 なお、検討会の主な論点としては、以下の事項が挙げられています。

1. 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の実施状況、成果及び課題の検証 

(1)小学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながり 

〇幼児教育と小学校教育の円滑な接続 

・改訂後の幼保小接続の取組の変化 

・幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の理解と活用 

〇0~18歳の学びの連続性を踏まえた教育の連続性・一貫性 

(2)幼児教育の特性等 

〇幼児教育の基本 

・環境を通して行う教育の理解 

・幼児の主体性と保育者の意図のバランス 

・幼児一人一人の発達に必要な体験 

〇幼児期に育みたい資質・能力の育成 

・ウェルビーイングの実現に向けどう資質・能力を育みたいか 

・育みたい資質・能力、ねらい及び内容、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿との関係 

〇子供一人一人の特性に応じた指導(保育)の実施 

〇時代に応じた保育方法の在り方(ICTの活用等) 

〇幼児理解に基づいた評価の実施 

 

2. 必要な条件整備 

(1)幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領を着実に定着・実施するための具体的な方策 

〇指導資料や教材の開発、研修の実施等 

(2)地域の幼児教育振興の体制の在り方 

〇地方自治体における幼児教育担当部局の在り方 

・教育委員会と関係部局の連携、国公立幼稚園の役割等 

〇幼児教育施設への支援 

・幼児教育センターの設置、幼児教育アドバイザーの育成・派遣等 

※3要領・指針の構造や文言の違いではなく、現場で実際に生じている幼児教育の実践や子供の姿等に関する成果や課題と結びつけながら、今後の教育課程、指導、評価等の在り方等や必要な条件整備について具体的な意見交換を行う。

 

 ちなみに、同検討会の委員は、研究者や教育・保育現場の園長ら18名の有識者で構成され、座長には無藤隆・白梅学園大学名誉教授、副座長には秋田喜代美・学習院大学文学部教授と奈須正裕・上智大学総合人間科学部教授が就きました。

 

*このニュースの解説は、近日中に会員ページの「ニュース解説」で取り上げます。

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