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執筆者の写真吉田正幸

加速する子ども家庭政策の多様な動きⅠ


 
こども誰でも通園制度や試行的事業の課題は

 こども家庭庁が誕生してから、子ども家庭政策に関する様々な動きが加速しています。例えば、「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設や保育所等における継続的な経営情報の見える化、小規模保育事業における3歳以上児の受入れなど、これまでなかった多様な政策が検討されています。

 その多くは、子ども・子育て支援法や児童福祉法などの法改正を含む制度改正が必要になるもので、それが同時に急ピッチで進められていることから、その全体像を捉えることを困難にしているように思われます。

 その背景には、「こども未来戦略方針」や「規制改革実施計画」といった閣議決定された大きな動きがあります。

 「こども未来戦略方針」(令和5年6月13日閣議決定)では、「出産子育て応援交付金」の制度化の検討や「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設など、「こども・子育て支援加速化プラン」に盛り込まれた内容の具体化を進め、必要な制度改正のための所要の法案を2024年通常国会に提出することが求められています。

 さらに、「規制改革実施計画」(令和5年6月16日閣議決定)においても、子ども・子育て支援法等の制度改正の検討が必要とされている事項があり、子ども家庭政策に関する動きの中でも、これらの閣議決定された制度改正事項については、改正法案を来年の通常国会に提出するなど対応が急がれています。

 そんななか、こども家庭庁では、こども家庭審議会子ども・子育て支援等分科会等を中心に、これらの制度改正事項について検討し、このほど議論を整理した報告書がまとめられました。

 報告書では、「こども誰でも通園制度」についても制度改正の方向性や今後の留意点、検討事項を示しています。この中で、制度の意義や目的を述べ、一時預かり事業との違いなどにも触れていますが、試行的事業に係る利用時間の上限設定や給付制度の在り方、人材の確保・育成など、残念ながら多くの課題が残されたままで、どこまで改善が図られるかいささか疑問が残ったものとなっています。

 *この情報については、会員ページの「ニュース解説」においてシリーズで詳しく解説しています。

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