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執筆者の写真吉田正幸

処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化は介護分野がヒントに!


 

一本化のポイントは事務負担の軽減と研修要件の弾力化


 こども家庭庁はこのほど、処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化に向けて、保育所、幼稚園、認定こども園の団体関係者との意見交換会を行いました。年内には一本化に向けた見直し案をまとめ、来年度から手続きや事務負担等の軽減が図られる見通しです。

 これらの処遇改善に関しては、待機児童問題が深刻化する中で保育人材の確保が大きな課題であったことから、2015年度に子ども・子育て支援新制度の施行に合わせて処遇改善等加算Ⅰが始まり、2017年度から技能・経験などキャリアアップに連動させた処遇改善等加算Ⅱを導入、2022年10月から3%程度の賃上げ効果が継続されるよう処遇改善等加算Ⅲが始まりました。

 しかし、それぞれの加算がバラバラに始まり、その趣旨や対象者、要件、加算額の算定方法等が異ななど、加算対応の整合性がとれていませんでした。その結果、仕組みが複雑で手続きも煩雑であるなど、保育現場や自治体に多大な負荷をかけ、混乱を招く要因ともなっていました。

 この加算の一本化に関して、すでに介護分野では、「人材確保に向けて、事務負担の軽減等を図り、処遇改善の措置をできるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、処遇改善に係る加算の一本化を実施する」ことになりました。具体的には、これまでの介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算という3つの加算を統合して、新たに「介護職員等処遇改善加算」に一本化されています。

 具体的には、これまで3つあった各加算の種類や加算区分ごとの要件や加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化し、新加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳという4つの要件を設けて、いわば4つのグレードに応じて加算額を積み増す仕組みになっています。その際、経験・技能のある職員に重点的に配分するようにしつつ、事業所が柔軟に配分することを認めることとしています。

 もし、介護職員の処遇改善の一本化に準じるとすれば、処遇改善等加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを一本化して新「処遇改善等加算」を創設し、その中に3~4つの要件を設けて、要件を満たすレベルに応じて加算額が積み増されることになるかもしれません。その場合は、処遇改善Ⅱについても、経験・技能のある職員を一定割合以上配置していれば、それに対して新加算の中で加算を積み増すことになりそうです。こうした方式にすれば、処遇改善等加算Ⅰにも含まれているキャリアパス要件分という要素が統合されることになります。ただ、それに連動して、キャリアアップ研修の要件がどのくらい見直されるかは現時点で不明です。

 なお、ここdeサーチを活用した経営情報等の見える化が、令和7年度から実施されることから、これに関連して処遇改善等加算に係る書類の様式を統一することも課題となりそうです。

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