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執筆者の写真吉田正幸

保育界も明日の我が身か~迫り来る少子化の危機!


 

私立大学・短大の厳しい経営状況が明らかに


 加速する少子化の影響は至るところに及びつつありますが、私立大学・短大にも少子化の厳しい波が押し寄せています。これは決して他人事ではなく、幼稚園や保育所等においても存続の危機が忍び寄ってきていますし、大学・短大等の養成校の経営が困難になるということは、保育人材の確保にも支障をきたすことになります。

 文部科学省は先ごろ、令和5年度文部科学白書を公表しましたが、「第4章 私立学校の振興」の中で、私立大学・短大の厳しい状況が浮き彫りにされました。

 それによると、令和5年度における入学定員の充足状況を見ると(日本私立学校振興・共済事業団の調査)、入学定員の8割を満たしている私立大学は全体の約74%、私立短大は約35%、入学者が入学定員の半分に満たない私立大学は約5%、私立短大は約15%となっており、とりわけ短大の厳しい状況が明らかになっています。

 また、学校法人(大学法人)ベースでみると、令和4年度決算において「学納金、寄附金などの自己収入から人件費、教育研究経費などの支出を差し引いたもの」がマイナスとなった法人、つまり自主財源で人件費等の必要な費用をまかなえない法人が4割近くに及び、財務実態からも厳しい経営状況にあることが分かります。

 これに関して白書では、「各学校法人には、経営基盤の安定のための努力を積極的に行っていくことが求められ」ているほか、「経営が悪化傾向にある学校法人に対しては、個別に指導・助言を行い、日本私立学校振興・共済事業団と連携の上、学校法人の自主的な経営改善を一層推進するとともに、著しく経営困難な学校法人に対しては、撤退を含む早期の経営判断を促す指導を実施する」ことなど、「経営改善に向けた指導の充実を図って」いくことを強調しています。

 「撤退を含む早期の経営判断」ということは、法人の合併や解散を視野に入れた対応を急ぐということであり、大学の淘汰・倒産が迫ってきているということを意味しています。加速する少子化の洗礼は、むしろ就学前の子どもを受け入れいている幼稚園や保育所、認定こども園等が先に受けるわけですから、“炭鉱のカナリヤ”とならないよう持続可能性への挑戦を諦めないことが期待されます。

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