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執筆者の写真吉田正幸

今後の幼児教育の在り方で文科省の検討会が中間整理案

 

保育所も含む幼児教育施設の今後の課題や方向性とは


 文部科学省の「今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会」が7月24日開かれ、中間整理案をめぐって協議しました。

 同検討会では、 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領(3要領・指針)に基づく幼児教育活動の成果や課題の検証、今後の幼児教育の在り方について検討を重ねてきました。

 今回取りまとめられた中間整理案は、第1章 社会と共有したい幼児教育の基本的な考え方、第2章 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の成果と課題の検証等、第3章 必要な条件整備という3章で構成され、「量の拡大から質の向上へと政策の重点を移す」観点から、今後の課題や方向性を示しています。

 ここでは、注目すべき課題に絞って、中間整理案のポイントを取り上げておきたいと思います。

 まず中間整理案では、随所に「幼児教育施設」という言葉が使われていますが、これは幼稚園、保育所、認定こども園を総称するものとしています。つまり、保育所についても、幼稚園のような学校ではないものの、幼児期の教育を担う施設として捉えています。

 これに関して、文科省の中央教育審議会答申(「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」平成17年1月28日)は、「幼児教育」について次のように説明しています。

「幼児教育とは、幼児に対する教育を意味し、幼児が生活するすべての場において行われる教育を総称したものである。具体的には、幼稚園における教育、保育所等における教育、家庭における教育、地域社会における教育を含み得る、広がりを持った概念としてとらえられる」

 従って、幼児とは「小学校就学前の者」を意味し、広い意味での幼児教育の範囲は0歳から小学校就学前までの子どもということになります。

 一方、中間整理案は、「地域における幼児教育施設の役割」について、「全ての子供に格差なく質の高い幼児教育を受ける機会を提供することが重要である」として、「幼児教育施設は、地域の幼児教育の中核的存在として、在園児のみならず、地域の子供に幼児教育の機能と施設を積極的に開放することが求められる」との考えを示しています。

 その上で、在園児ではなくても、「幼児教育施設の有する園庭や園舎等を地域に開放し、様々な家庭や年齢層の子供が社会的な子供の学びの環境に触れることができるようにすることが重要である」と強調しています。その具体例として、「未就園児の親子登園や今後全ての自治体で実施されるこども誰でも通園制度」などを挙げて、「幼児教育の特性を生かした活動を提供することにより、子供が入園後の生活にスムーズに移行しやすくなることが期待される」と述べています。

 このほか、中間整理案では、「現代的諸課題に応じて検討すべき事項」として、幼児教育施設におけるICTの活用や幼稚園等が行ういわゆる預かり保育など、「必要な条件整備」として、地方自治体における幼児教育担当部局の在り方や人口減少地域における今後の幼児教育施設の在り方なども取り上げて検討しています。


*今回まとめられた中間整理案については、近日中に「会員ページ」の「ニュース解説」で詳しく取り上げる予定です。


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