地方は少子化に加えて女性の人口流出でダブルパンチ
総務省はこのほど、住民基本台帳人口移動報告の2024年結果を公表しました。これは、国内外の人口の移動状況を明らかにしたもので、地域の少子化にも影響を与える地方自治体間の人口移動の状況を知ることができます。
それによると、都道府県別の状況で転入超過となっているのは東京都、神奈川県、大阪府など7都府県で、それ以外の40道府県は軒並み転出超過となっています。このうち、東京の転入超過は7万9285人と最も多く、次いで神奈川県の2万6963人、大阪府の1万6848人、千葉県の7859人、福岡県の4160人、山梨県の82人となっています。
この7都府県の転入超過数は、合計で15万6933人となっていますが、東京都だけで全体の半分を占めており、東京都の一人勝ちといった状況です。また、首都圏全体では、前年より9328人増えて13万5843人の転入超過となっています。これは転入超過数全体の9割近くとなり、転入超過に関しては首都圏一極集中の状況が鮮明になっています。
ただ、目を引くのは大都市ではない山梨県で、前年は586人の転出超過であったのが2年ぶりに転入超過に転じたことです。これは、外国人の転入超過が576人であったことが大きな要因と考えられます。なお、同県は、2023年に「人口減少危機突破宣言」を行い、社会増ではなく自然増につながる出生率の回復を目指して人口減少対策に取り組んでいるだけに、今後の人口動向が注目されます。
逆に、転出超過をみると、広島県の1万711人が最も多く、次いで愛知県の7292人、兵庫県の7287人、静岡県の7271人、福島県の6683人などとなっています。福島県を除くと、いずれも政令市を抱える自治体となっています。
また、少子化にも影響を及ぼす女性の状況をみると、転入超過数で最も多いのは東京都の4万2172人で、次いで神奈川県の1万2662人、埼玉県の1万391人、大阪府の1万562人、千葉県の6834人、福岡県の2222人、滋賀県の183人となっています。
逆に、女性の転出超過となっているのは、広島県の5622人が最も多く、次いで北海道の4404人、静岡県の3652人、新潟県の3458人、福島県の3405人、茨城県の3310人、愛媛県の3110人など40道府県で転出超過となっています。
女性の転出入状況をみても、東京をはじめとした首都圏への一極集中が明らかです。転出超過の地方にとっては、少子化の加速と女性の人口流出とが相まって、今後さらに厳しい状況に見舞われる可能性が高いだけに、過度の一極集中にならないような人口政策が求められそうです。
なお、人口移動報告に掲載された「都道府県別転入者数、転出者数及び転入超過数」などのデータについては、会員ページの「情報データベース」内の「統計データ」にアップしています。