お祝い金や手数料、払戻金など指導監督事例が多数
厚生労働省はこのほど、医療・介護・保育3分野の有料職業紹介事業所に対して、昨年8月から今年5月にかけて集中指導を実施したところ、1152事業所のうち約6割にあたる716事業所において職業安定法などの違法が見られたとの指導監督実施状況を公表しました。求職を登録した者や就職が決まった者に対するお祝い金を支給していたり、求職者に手数料を明示していなかったりと、相変わらず不適切な事例が後を絶たないことが明らかになりました。
法律違反として指導を受けた事例(述べ件数)をみると、事業情報の明示、公開に関する指導事例( 5 5 1 件)、帳簿書類の記載不備に関する指導事例( 4 7 2 件)、手数料に関する指導事例( 4 0 9 件)、労働条件等の明示に関する指導事例( 3 3 6 件)、返戻金の明示等に関する指導事例( 2 7 3 件)、求人求職管理簿の記載不備( 転職勧奨防止のための記載事項) に関する指導事例( 2 0 5 件)、お祝い金に関する指導事例( 2 5 件)、個人情報の取扱いに関する指導事例( 2 1 件)、苦情処理体制に関する指導事例( 8 件)などとなっていました。
具体的な指導事例としては、次のようなケースが挙げられています。
〈お祝い金に関する指導事例〉
○ 面接実施時に電子ギフトカード(数千円)を支給
○ 知人を紹介した人、紹介されて求職登録した人それぞれに対して旅行券(数万円)や電子ギフトカード(数千円)を支給
○ 紹介により就職し一定期間後にアンケート回答した場合に支給(数万円程度)
○ 求職登録し就職した者を対象とした無料宿泊券の支給
〈手数料に関する指導事例〉
○ 厚生労働大臣に届け出た手数料表の上限を超える手数料額を徴収(手数料表の変更届提出なし)
○ 求人者及び求職者に対して手数料に関する事項を書面等で明示していない
○ 人材サービス総合サイトへの情報不掲載、または内容が不明瞭・実際のものと相違あり
〈返戻金の明示等に関する指導事例〉
○ 求人者及び求職者に対して返戻金制度に関する事項を書面等で明示していない
○ 返戻金制度に関する事項について事業所内の一般の閲覧に便利な場所に掲示していない
○ 人材サービス総合サイトへの情報不掲載、または内容が不明瞭・実際のものと相違あり
〈求人求職管理簿の記載不備( 転職勧奨防止のための記載事項) に関する指導事例〉
○ 転職勧奨禁止期間が適切に管理されていない(求人求職管理簿への記載なし)
○ 転職勧奨禁止期間が適切に管理されていない(求人求職管理簿への記載誤り)
こうした事例が多数みられたことから、同省では、今後の追加的な対応策として、①法令順守徹底のためのルールと施行の強化(お祝い金・転職勧奨禁止の実効性確保、募集情報等提供事業に係る対応)、②雇用仲介事業の更なる見える化(職種ごとの紹介手数料実績の見える化、違約金等に係るトラブルへの対応)、③公的部門における職業紹介機能の強化(ハローワークの機能強化等)といった措置を講ずることを検討するとしています。