保育システム研究所

The research institute for system on childcare and early childhood education.

研究所の趣旨 / Purpose of the Institute

少子化が加速すると同時に、子どもを取り巻く環境は悪化の一途を辿り、子育ちも子育ても困難な時代を迎えています。少子化問題に関しては、理念や哲学の裏打ちもないままに、対症療法的な少子化対策が進められ、期待されたほどの成果を上げ得ていません。子どもを取り巻く環境も、単に自然環境の喪失や様々な直接体験の機会の減少にとどまらず、メディアの発達・普及やサービス産業化の一層の進展、経済効率重視の風潮など、子どもにとって直接・間接にマイナス要因を増大させています。

1995年度(平成7年度)から、我が国で初めての総合的な少子化対策・子育て支援として、いわゆるエンゼルプランが策定されました。これは、その後、新エンゼルプラン、待機児童ゼロ作戦、次世代育成支援対策、子ども・子育て応援プラン、子ども・子育てビジョンなどにつながっていきます。これらの計画は、いずれも仕事と子育ての両立支援を中心的な課題に据えていますが、単なる両立支援だけでは解決できない諸問題が次第に明らかになってきました。

また、これらの動きと並行して、規制改革や地方分権の推進が図られ、認可保育所の設置主体制限の撤廃や、それに伴う民営化の加速、公立保育所の運営費の一般財源化、保育に関する最低基準の地方条例委任など、保育分野に大きな変化をもたらしました。

海外に目を転じると、先進国の多くが少子化問題を抱え、その有効な解決策を模索しています。そうした中で、OECDを中心に乳幼児期の教育・保育を重視する動きが活発化しつつあり、幼児教育・保育政策の充実が大きな課題とされています。

こうした状況を踏まえて、当研究所は、幼児教育・保育分野に関し、先駆的・先進的な役割を果たすべく、この分野における本格的なシンクタンクとなることを目指して設立しました。幼児教育・保育分野を中心に、幅広く内外の保育システムについて調査・研究し、各種データの収集・分析等を行うとともに、その提供や情報共有、有効活用を図っていきたいと考えています。また、必要に応じて各方面に政策提言も行いたいと思います。

その中で、特に「保育の質」や「保育を科学すること」、さらには「保育をマネジメントすること」に力を入れたいと考えています。理論(システム)研究と実践(臨床)研究を行い、保育現場の発展・充実・振興に貢献することを目指しています。さらに、様々な活動を通じて、幼児教育・保育分野の発展・充実のみならず、子どもや子育てにやさしいまちづくりや地域社会の活性化に資することも願っています。

この変革期において、当研究所が少しでも子ども環境の改善や社会の役に立てば幸いです。